自身の線維筋痛症を寛解させた医師による「歯科治療」「顎位」「咬合」 との関係

 

線維筋痛症(せんいきんつうしょう) を発症した脳神経外科医

昨年2018年のことになりますが、私はある患者さんとのやり取りから、ひとりの興味深い脳神経外科の先生との出会いがありましたので報告させて頂きます。

その医師は新居弘章氏(あらいひろあき) とおっしゃり、お会いした時点で、すでに著書の出版及びブログで発信(アドレスはこちら http://blog.livedoor.jp/doctor_arai/ ) されており、詳しくはそちらを見て頂ければと思うのですが、驚くことに自身が「線維筋痛症」を発症してしまい、それを自身で研究をされ歯科治療法のひとつであります「顎位」「咬合」を補正する方法を、自身で新たに構築し直し寛解(かんかい) させてしまった、という経歴をお持ちの方なのです

概要を少し説明します。

まず「線維筋痛症」せんいきんつうしょう という病気をご存じない方もおられるかと思います。原因が未だ不明で、全身の筋肉・関節が広範囲に渡り「痛み」を発する主症状で随伴症状が、不眠・うつ病・慢性疲労症候群・消火器症状・アレルギー症状 等 、とても多い病気であり、日本国内では人口の約1.7% およそ200万人もの患者さんがいらっしゃるとの事。一見して普通そうに見えますし医学的検査でも全く異常が見出せない為、これら苦しみを理解されない、またご自身でもこの病気であるのか ? 病名にたどり着かない方も実際多くいるらしいとの事

線維筋痛症治療の模索・結果 

この「線維筋痛症」新居医師が発症し、治療法も無く困り果てていた際に見つけたのが、歯科的「顎位および咬合の補正」による手法だったらしいのです。最初の頃は「咬合の専門医」の元で全国どこても制作可能なスプリント状による治療法で「症状改善」「症状悪化」繰り返していた

通常一般の方であれば、「線維筋痛症」の症状を抱え、治療法を変える為この歯科的療法から離れてしまうのが当然ですが、新居医師の場合は、現役脳外科医の知識・経験を生かし、治療経過に良い・悪いの波がある「症状改善」の良い方に目を向け歯科医と協力し、ご自身のつらい症状身体を実体験の場として「線維筋痛症」発症のメカニズム治療のメカニズムに挑んだ、というのです。

症状がとくに辛かった際には、「線維筋痛症」の分類上いちばん重いステージVで、お仕事もしばらく休まざるを得ない状態であったものが、ご自身の開発した治療法により、日常生活を取り戻し、仕事も通常に戻られたという現在です。

詳しくは、上載の新居先生の書かれた著書・ブログで確認して頂きたいのですが、申し上げられる範囲内で、私がこのサイトの主旨に沿って興味湧く個所解説いたします。

新居医師はおっしゃります
私がこの疾患を寛解させたものは
この「顎位補正治療法」によって
だと

あくまで研究途中の治療法であること前提で申し上げますが、現役の医師が自らの身体体験をもっての感想である事、しかも、現口腔領域の「顎の位置・歯の形態」のみで現代難病で対処出来た事、これはとても貴重な言葉です。(口腔内の秘めたる可能性を現した表現です)

では、実際の診断・治療工程の概要は以下の通りです。

  • 「線維筋痛症」診断のガイドラインである圧痛点の確認
  • 「水分負荷試験」(尿量の検査)
  •  努力性呼気残量(呼吸器の検査)
  • 「顎位補正試験」(舌表面および咀嚼筋群の反射を応用したもの)
  • 「顎位補正術」(理学的所見にもとづく下顎位補正)
  •  アライ式スプリント作成
  •  上記各検査および補正試験・補正術にもとづいたスプリント調整

スプリント以降の治療は省略しまして、以上の各項目、ご覧のように一般的な歯科治療法と異なることが分かるかと思います。

「水分負荷試験」を行う目的は、顎位を変える事で現れる「尿量の変化」の検査であり、努力性呼気残量とは ?  素人はあまり聞きなれない用語ですが、要するに肺の中に残った一般的呼吸後の残量を計測するという事で、顎位を変える事で現れる「呼吸器の数値変化」の検査であります。(この二つの基礎検査項目は、「顎位補正によって」数値が変わるという、未だ歯科業界内でも知られてもいない事実を、検査項目としたものです)

「顎位補正試験」とは、これも一般的歯科テクニックであります「咬合採得法」とは異なり、神経生理学的知見を元に、咀嚼筋群に存在します「三叉神経深部覚」の反射、および舌表面に存在します「三叉神経表在覚」の反射を利用して「顎位の補正」を行う試験方法です。(いずれも、この二つの反射を利用して「触れる形態」の微調整テストによる顎位の反応を確認する作業を行います)

「顎位補正術」とは、理学的方法による確認の仕方 (例えば 腱・筋肉などを触診し緊張の度合いを確認しながら) により、先の「顎位補正試験」による二つの反射を利用した「触れる形態の微調整」で反応した「顎位」と並行して確認をおこなっていく作業です。

アライ式スプリントとは、「顎位の決定」つまり歯科用語で言う、「バイト決定」に関しては、上記、尿量の検査・呼吸器の検査・二つの反射を利用した触れる形態の調整試験・理学的所見による確認試験 などによって定め、次に着脱可能な可撤式補綴物 (いわゆるスプリン形状のもの) 活用して、再度「顎位の決定」に用いた手法 (尿量の検査・呼吸器の検査・二つの反射を利用した触れる形態の調整試験・理学的所見による確認試験) を行、調整を進める前提で制作されるものを指します

以上、おおまかな治療の進め方、でしたが歯科の一般的な「スプリント制作」とは異なる事が分かるかと思います医科の先生でありますので当然ですが、自身が発症し、治癒経過までの体験を元に「線維筋痛症」以前に「慢性前立腺炎」まんせいぜんりつせんえん という疾患にも発症しており (著書全3巻に詳細書かれております) 発症・治療メカニズムを開発する過程で、「尿量の検査」「呼吸器の検査」客観的指標として使える事「発見」し、診断項目に取り入れています。(口腔内発症要因の治療工程でのこれらの検査法は画期的な事と思います)

「顎位補正試験」で行う、三叉神経深部感覚・表在感覚それぞれの「反射」を利用した方法は、私も技工士として、多くの歯科医の手法を身近に体験してきましたが、テクニック (技術的) としても困難であります「顎位の診断・誘導法」としてこれら「脳幹反射を利用した「顎位補正方法」は、医学的にも認知されやすい手法なのではないでしょうか ? 特にこれまで「顎位判断」として困難でありました「顎偏位の判断」「咬合高径の判断」などにおいては尚更です。

特にに画期的な事だと思いました「顎位補正術」に関してですが、上記、神経生理学的反射を基本「口腔内の形態・顎偏位状態・咬合高径」を決定してゆく際、、理学的手法で確認しながら (前頸筋・後頸筋 などを触診し、緊張や痛みの感覚を確認しながら) 診断してゆきます。(歯科においてはこれまで「顎位の診断・誘導前に、咀嚼筋および口腔周囲の筋肉を触診する事など、行う方はおられましたが、理学的手法を確認しながら「顎位の決定」がされる手法存在しませんでした)

歯科従来法より、医学的に認められる手法であります

スプリント制作時には、これら診断に基づいた「形態」制作をし、又、改めて口腔内にて検査・補正術 を行い調整され、治療が進められていきます。

このサイトの主旨に沿って感想を言いますと、

新居先生の診断・治療法は、メインは重い疾患である「線維筋痛症」を対象に開発された手法なのですが、歯科の一般的治療や診断にも応用できる手法でもあると感じました。

このサイトでは、主に「歯の形態」「歯列湾曲」の詳細な解析を必要と考え「接触」するとどう ?  反応し、どの様に「動き」となり どの様な「顎位」になるのか ?   基本診断を必須と考えております

改めて「口腔内形態」と「顎の位置状態」の正確な診断は最低限の事で、共通のデータにしうる状態が必須と思います。

 

新居先生に興味持たれた方は、上記新居先生のブログ及び著書紹介の 以下リンクから。

ブログ http://blog.livedoor.jp/doctor_arai/   

著書紹介 http://www.musiccap.co.jp/tokyo/book/page01.html

直接の問い合わせは  戸田中央総合病院 脳神経外科 新居弘章(あらいひろあき) 医師まで 

 

今回の新居先生との体験は、追って記事として投稿させて頂きます。

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