こうして軟組織を取り除いて観ますと、上下硬組織の歯牙による「咬み合わせ部」つまり「咬合高径」の個性的な「合わせ方」がどれほど関節部に影響を及ぼしているか分かります。このような関節部は、左右に存在し、その中間部に多様な歯牙形態が並んでいますので、なおさらです。
当然、顎関節部がこのように沈下・ブレが起こりやすい機構でありますので、機械式咬合器の「顎関節機構」と異なり、人体での個性的な「合わせ方」では、変形可能域も広がり「歯の接触可能域」も広くなります。つまり「咬合高径」が定まる要因(上と下が咬み合った高さ)も、数ミクロン~数ミリと範囲が広がります。
歯牙の「斜面」の逆転形態が観られますし、「斜面」の角度も異なることが分かるかと思います。
こちら歯列も、「斜面」の逆転形態が観られますし、「斜面」の角度も異なります (スピーの彎曲・ウィルソン彎曲はこのように分類する事が可能です) 。また、この画像でも分かるように、右側と左側の歯列は「左右非対称」で形態も大きく異なるケースもある事が分かります。
こちらは先の、基本メカニズム斜面の物理で解説しましたように、上下の「斜面」どうしが動いた時には高径が変わります。又、同一平面上に「逆の斜面」が存在しますと「高・低 逆の作用」が発生します 。
その同一平面上の「逆の斜面」どうしにも、「角度の違う斜面」が存在します。当然、角度が違うものが動きますと高径に「差」が発生します。
※ (口腔内の実際での歯の「咬み合う形態」は「斜面」対「水平」や「水平」対「水平」など多種存在します)
2019 8月 数値の記入ミスがありましたので修正いたしました
傾斜角の異なるモデル (高さ4mm 6mm 8mm) を、前・後 にスライドさせたときの高径の違いのグラフです。 4mm と8mm のモデルをそれぞれ 5mm 移動させたときの違いは 0.39mm となり、6mmと8mmのモデルで5mm移動させたときの違いは0.20mmとなります。
通常臨床では、前・後での「歯列彎曲」「歯牙内斜面」の差(仰角 俯角の角度の差) が2mm以上あるのは普通のことですし、左・右にある「歯列彎曲」「歯牙の内斜面形態」の差(アシンメトリー asymmetry) が2mm以上ある事は、よく観られる状態です。口腔内において0.20mmの高径差はいかに大きいか ?
基本メカニズム解説 歯の形の解析法 >