咬合高径を定める要素は 上下 左右非対称な硬組織の一カ所のみ
の固定限定された「咬頭嵌合位」の顎の位置だけでは無く
全ての歯牙斜面から生まれる「全ての多様な接触」も
含め考察する必要があります

忘れてならない事として、咬合器の顎関節相当部はブレ・沈下しない前提の機構ですが、生体の顎関節は関節円板を含む人体で最もブレ・沈下しやすい関節機構です。

顎関節部の骨どうしの大きな隙間が 咬み合わせの接触許容量の重要さを物語ります

回転運動と滑走運動可能で 人体で最も 固有 可動パターンが広い関節が顎関節です

こうして軟組織を取り除いて観ますと、上下硬組織の歯牙による「咬み合わせ部」つまり「咬合高径」個性的な「合わせ方」がどれほど関節部に影響を及ぼしているか分かります。このような関節部は、左右に存在し、その中間部に多様な歯牙形態が並んでいますので、なおさらです

当然、顎関節部がこのように沈下・ブレが起こりやすい機構でありますので、機械式咬合器の「顎関節機構」と異なり、人体での個性的な「合わせ方」では、変形可能域も広がり「歯の接触可能域」も広くなります。つまり「咬合高径」定まる要因(上と下が咬み合った高さ)も、数ミクロン~数ミリと範囲が広がります

この為「 咬合高径」とは上顎に対して下顎が
全方位に動き「 触れた全接触領域」を含む つまり
上・下顎が触れた「刹那高径」の事も定義に加え考察しています
(ガイドか ? 干渉か ? どちらも高径の一部ですので ひも解くカギととなります)

実際に観られる 天然歯牙や歯列彎曲の 「斜面」の逆転形態と「斜面」の傾斜角の違い

歯牙の「斜面」の逆転形態が観られますし、「斜面」の角度も異なることが分かるかと思います。

こちら歯列も、「斜面」の逆転形態が観られますし、「斜面」の角度も異なります (スピーの彎曲・ウィルソン彎曲はこのように分類する事が可能です) 。また、この画像でも分かるように、右側と左側の歯列は「左右非対称」で形態も大きく異なるケースもある事が分かります。

各歯牙での「斜面」の違いをご覧ください (下顎臼歯)
咬頭・隆線・ファセットの「斜面」の違う (傾斜角の違う) 咬む場所においては
「咬合高径」には異なるパターンが存在することをイメージして下さい

歯列彎曲での「斜面」の違いをご覧ください (3パターン)
上・下彎曲の「斜面」の違う (傾斜角の違う) 咬む場所においては
「咬合高径」には異なるパターンが存在することをイメージして下さい

ご覧頂いたような
上下の各歯牙・歯列彎曲のそれぞれ異なる「斜面」が前後・左右
に動き「接触している箇所」を高径とし計測する事が出来ます
当然 その各箇所の「咬合した高径」には「差」が発生します
(例えば ディスクルージョン刹那のガイド接触高径も含みます)


この「斜面の角度」の違いと「咬合した高径」との相関を
シンプルな物理で考えます

「斜面の角度」の違いによる物性 (仰角ぎょうかく 俯角ふかく の角度の違いによる物性)

こちらは先の、基本メカニズム斜面の物理で解説しましたように、上下の「斜面」どうしが動いた時には高径が変わります。又、同一平面上に「逆の斜面」が存在しますと「高・低 逆の作用」が発生します 。

その同一平面上の「逆の斜面」どうしにも、「角度の違う斜面」が存在します。当然、角度が違うものが動きますと高径に「差」が発生します

※ (口腔内の実際での歯の「咬み合う形態」は「斜面」対「水平」や「水平」対「水平」など多種存在します)

2019 8月 数値の記入ミスがありましたので修正いたしました

傾斜角の違い(仰角 俯角の違い) は当然 各個人の個性的な
歯牙・歯列彎曲で全て異なりますので 「多様な咬合高径」
全てを解析し把握しておく必要があります

上の傾斜角が異なる3種類のモデルが 前・後 方向に動いた際の高径の変化を計算したグラフがこちらです(基本的に左・右方向も同じ)

傾斜角の異なるモデル (高さ4mm 6mm 8mm) を、前・後スライドさせたときの高径の違いのグラフです。 4mm と8mm のモデルをそれぞれ 5mm 移動させたときの違いは 0.39mm となり、6mmと8mmのモデルで5mm移動させたときの違い0.20mmとなります。

通常臨床では、前・後での「歯列彎曲」「歯牙内斜面」の差(仰角 俯角の角度の差) が2mm以上あるのは普通のことですし、左・右にある「歯列彎曲」「歯牙の内斜面形態」の差(アシンメトリー asymmetry) が2mm以上ある事は、よく観られる状態です。口腔内において0.20mmの高径差はいかに大きいか ?

2019 8月 数値の記入ミスがありましたので修正いたしました

人体では このような「咬合高径」の差を 無意識に吸収して
いる(下顎の沈下・ズレ・ブレ・偏位)可能性が高いですので
「固有感覚」に携わる十分なデータ解析は必須なのです
(未だ重要視されてない)

基本メカニズム解説 歯の形の解析法  >

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