口腔内で斜めの硬組織が互いに咬み合うと ?

お口の中では、単に「山」と「谷」では無く、厳密には左右非対称の歯牙形態が前歯・臼歯も非対称の彎曲(わんきょく) に並んだ状態で上・下顎が咬み合っています。 この状態を、単なる咀嚼器官としての咬み合いでは無く、どの様な「接触」が実際行われているのか ? 検証する為、シンプルな物理として考えます。

歯車での咬み合わせは ブレない中心軸と
均等な「刃の形態」によって スムーズに回転します。

人体の咬み合わせは 特異な顎関節による動きと
アシンメトリーな「歯の形態」「多様な斜面」をスムーズ
に「筋肉の収縮」で咬み合わす高度な作業を行っています

工業界で使われるギアは、回転運動がメインで「ギア形態」が同一であることで、スムーズに動きます

こちらは下顎臼歯の形態を「斜面」で表現したものです。口腔での咬み合わせは、このような複雑な形態を上下・左右・前後 方向から咬み合わす、事をスムーズに行っています。

人体の歯牙を触れ合わす際のベクトル図

詳細は別記事で述べますが、口腔では「咬み合う」動作だけでは無く「触れ開ける」動作も加わります。この相反する方向の「触れ合わす・開ける」動作は左右2つある「顎関節」が回転・滑走 運動し、歯牙部では同一な形態は無い各自個性的な「多様な斜面」を、前後・左右・上下 方向に移動しながらスムーズに咬み合わせ (擦り咬む) たり開く方向に開き (擦り開ける) ます。又、工業用ギアのように軸が「ブレ無い機構」では無いため、例えば”閉じる方向”の際、二つの「顎関節」と数種の「口腔周囲筋肉の収縮」で焦点するメカニズムですので、「ブレやすい機構」でもあります。(逆に”開ける方向”の際には、ブレやすくもありながら”全方位へ” 拡大し動く機構) それらを我ら人体では無意識に動かしています。

「咬合」の成書で全く触れられて無い このスムーズに焦点・拡大
する「動き」をひも解く 「斜面」 について掘り下げます

こちらは、上下顎歯列を真似たモデルです。どちらも高径が全く同じですが、上顎と下顎を分ける界面が、一方は「フラット」もう一方は「斜面」で合わさっています。(水平で合わさっている、仰角で合わさっている、とも言えます)

このモデルの下顎を「後方」に下げてみます。(又はイメージ転換し「左方」に寄ると見る事も可能) 当然ですが「フラット」では高径が変わらず、「斜面」の方は比べて高径が低くなっています。これは口腔内ではどういう作用を及ぼすでしょうか ? 以下ご覧ください。

フラットでは高径は変わらず
斜面では 前方時 高径高く 後方時 高径低く なります

視点を変えた場合でも フラットでは高径変わらず
斜面では 一方では高径低く 一方では高径高く なります

前歯部と臼歯部が同じ高径という前提で、矢状面(顔面を横から) で「斜面」の特性を観ますと、フラットどうしの咬み合いは高さは変わりませんが、「斜面」での咬み合いの場合、「前方」では高径が高く「後方」では逆に低くなる当然の物理です。(仰角どうしの咬み合いが「前方」「後方」に動くと高さが変わる)

右側部と左側部が同じ高径という前提で、前頭面 (顔面を前から) で「斜面」の特性を観ますと、フラットどうしのかみ合いの高さは変わりありませんが、「斜面」での咬み合いの場合、例えば、「左側に寄る」と低く、逆に「右側に寄る」と高くなるという様、反対測をまたいだ物理の作用となります。

このごくシンプルな物理を 口腔内の「形態」に転換します

 口腔内における「硬組織形態」は、重力に対しての「水平面」を基準としますと(頭蓋姿勢は一定基準)、ほぼ「フラット」では無く、大概は「斜面」どうしで咬み合っているものです。(未だこういった視点で科学的検証されて無いのが本当の所だと思います) 歯列彎曲の矢状面での例を挙げますと、上顎前歯部から大臼歯部を連ねた「歯列形態」「水平」では無く 多くが「前下方」又は「後上方」「傾斜」をしています。 この為、フラットで高径が変わらない箇所と、「斜面」どうしが咬み合う箇所を分離し、「多様な斜面の物理」について多くのパターンを思考する必要があります。

(下顎は頭蓋での副次的上下運動する為、表現法が複雑ですが「前下方」「後上方」「仰角」「俯角」という言い換えも出来るかと思います)

歯牙・歯列形態の「斜面特性」は 顔面を横から(矢状面)
後方から(前頭面) どちらから見ても同じ「物理」です

口腔と同じ視点でイメージしますと
このように"縦と横"同じ「物理」で作用しています

「斜面」どうしが合わさり 、一方向に動くと高径が「高く」なったり、若しくは「低く」なったりしますし、同一平面上に「逆の斜面」が存在しますと、「逆の作用」が発生します。又、観察する方向を矢状面からと前頭面から観ても、基本的に同じ「斜面の物理」で考える事が出来、これらを基礎に「多様な斜面」解析に応用します

診察と同じ方向から(前頭面 前方から) もっともシンプル斜面」「前・後・左・右 形態特性のイメージ」を重ねるとこのようになります。歯牙形態における「咬頭」「隆線」「副隆線」らの「個性的特徴」および歯列形態における「スピー彎曲」「ウィルソン彎曲」らの「個性的特徴」等に応用します。(今回は説明省きましたが、実際には斜め方向も加わります)

基本メカニズム解説 左右非対称の特性  >

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