二つのケースの「右下方斜面」「左下方斜面」ともに、どちらのケースも「右側犬歯ガイ斜面」と平衡側・作業側臼歯の各「右下方斜面」が多様な斜面がみられる事、又、反対側の「左側犬歯ガイド斜面」と平衡側・作業側臼歯の各「左下方斜面」にも多様な斜面がみられる事。が分かると思います。
私たちは大概、このように「左右非対称形態」を咀嚼筋や口腔内各周囲の筋によって、ほぽ無意識にこれらの「多様な斜面」をコントロールしています。神経生理学的には三叉神経深部感覚情報として、上下・左右・前後からの各種収縮方向 (ベクトル) の筋紡錘情報も多く無意識で伝わっていると言えます。
実はこのように、口腔内の人口物をつくる作業というものは、これら無意識での神経情報を調整してしまう作業でもあります。(この人口物で作られた無意識での神経調整も我々が知る・把握すること自体も困難ではあるのですが) そこで、診断によってこれら各個人に診られる「各種歯牙・歯列斜面情報」を把握する事が出来ましたら、多くの可能性が秘めていると言えます。